• 検索結果がありません。

結果と考察 1 容器としての温度特性

Fi g. 5 に示すよう 7℃→60mi n→30℃→60mi n→15℃→of f ( 30 ℃)の間の温度変化は DB と EPS でほぼ同一パタ

2.0 12.0 22.0 32.0 42.0 52.0 62.0 72.0

1 15 29 43 57 71 85 99 113 127 141 155 169 183 197 EP S 温度(℃)

DB温度(℃) EP S 湿度(%RH) DB湿度(%R H)

Fi g. 5 コネギ用 DB と EPS の昇温冷却特性比較

ーンを示した.但し,DB は吸湿性があるため函内の湿度 変化に差があり,吸湿性の小さい EPS の方が冷却と同時 に急激に湿度が上昇するなど温度の変化に対する湿度の 変化が早かった.これらのことからガス環境さえ考慮す れば鮮度保持上の条件は同等と考えられた.

DB の通気性と鮮度保持上の条件については現場ではあ まり考慮されておらず,低温管理下の温度応答性や作業 性を重視するあまり,手掛穴や四角の穴など多くの通気 可能な隙間が開けられている.これらによって温度応答 性は高まるが,逆に呼吸抑制は不可能となり,低温の途 切れにより一気に青果物の品質低下が起きる.一般に低 温の途切れは常在化しており,高温に晒される危険性は 高く温度応答性を重視する意味は薄い.青果物の鮮度保 持にとっては,低温管理に加えて呼吸を抑制すること,

容器の気密性を高めることが重要である.

6)

3. 2 通気の抑制

3. 2. 1 コーナー通気性の抑制

通常の DB ではフラップの折り込みを容易にするため に,折り代を見込んで切り込みスロットが入っている.

このスロットの先端形状を改良し,折り重なり面積を増 やすことによって通気を抑制することを試みた.フラッ プの重なり角度が 30° 〜90° の 3種類の異なるスロッ トを比較した.切り込み角を大きく

3

つに分けてⅠ型,

Ⅱ型,Ⅲ型(写真. 1,写真. 2,写真. 3)とした.フラッ プ を折 り曲 げた ときの スリ ット の重 なり角 度は Ⅰ型 が 90° で最大である.写真. 4 にⅠ型の函内側の収まりを示 したが,気密性を考慮すれば,角度の小さい方がフラッ

プの重なり面積が増えて通気の抑制に機能し,高気密化 に有利と考えられる.これらを実際に製函し,鮮度保持 試験で鮮度保持への影響を検討した

写真. 1 Ⅰ型 写真. 2 Ⅱ型

写真. 3 Ⅲ型 写真. 4 Ⅰ型の内部

3. 2. 2 改良型原紙の利用

各種原紙を供して製函し,スロットの改良と組み合わ せてその効果を検討した.EPS は写真. 5 に示すように予 備発泡後のポリスチレンビーズが重なり合い圧縮された 多層構造を形成している.ビーズ間は密着しており通気 しにくい構造である.

写真. 5 EPS(× 25) 写真. 6 DB 原紙(× 175)

一方DB は写真. 6のように紙繊維が重なりあった構造 となっているが,目の荒いペーパーフィルターと同様に 気体透過性は大きいと推定される.そこで塗装や断熱コ ーティングを施した各種素材①リサイクール(レンゴー),

②ダンプルーフ(レンゴー),③発泡ライナー(大王製紙),

④普通段ボールの炭酸ガスの透過性を比較した.普通段 ボールは Fi g. 6 に示すように CO2 の透過が速い.原紙表 面( 写真. 6) からも判るように紙の繊維が重層したフィル ター構造をとっており,気密性に乏しい.発泡ライナー ( Fi g. 7) は原紙表面に発泡性コーティングを施したもの だが,紙繊維の隙間を充填がガスの通気を妨げるまでに は至っておらず,通気性は原紙と同程度であった.

ダンプルーフは紙繊維の隙間が充填されており通気が 抑制されている. 平衡状態に達するまで5〜6 時間程度を 要した ( Fi g. 8) .

また,リサイクールのガス透過性はさらに低下してお り平衡状態に達するのに 10 時間以上を要した.リサイク ールは EPS のガス透過性に近づいてきているが(Fi g. 9), EPS はさらに 12 時間経過後も完全平衡には達せず,気密 性の高さが認められた(Fi g. 10).

これらのことから,塗装の性質にもよるが,紙繊維の 隙間を埋める性質の強い塗料を選択すれば,十分に発泡

0 5 1 0 1 5 2 0 2 5

1 2 3 4 5 6

CO2 CO2

Fi g. 6 普通段ボールの CO2移動

0 5 10 15 20 25

1 2 3 4 5 6

CO2

CO2

Fi g. 7 発泡ライナーの CO2移動

0 5 1 0 1 5 2 0 2 5

1 2 3 4 5 6

CO2 CO2

Fi g. 8 ダンプルーフの CO2移動

0 5 1 0 1 5 2 0 2 5

1 2 3 4 5 6 7

CO2 CO2

Fi g. 9 リサイクールの CO2移動

0 5 10 15 20 25

1 2 3 4 5 6

CO2 CO2

Fi g. 10 EPS の CO2移動(5mm厚)

スチロールの気密性に近づけることが可能と考えられた.

無塗装と塗装の差は著しく,塗装によって炭酸ガスの移

動速度が遅くなる傾向が認められた.塗料の塗布によっ て原紙表面の通気性の隙間が少なくなる結果ガス透過抑 制効果が高まるものと考えられた.中でもリサイクール がガス移動では発泡スチロール並のパターンを示した.

塗装は,原紙に浸透するタイプと表面を被覆するタイ プがあるが,コストに関係する塗料及びその量を含めて さらに検討する必要がある.

3. 3 保存試験

実際の流通場面では夏場の流通温度に相当する 25℃で の実証試験を行った.味一ねぎを区分で封かんし,直ち に25℃のインキュベータに保管した.その後24時間毎 に外装容器内の酸素濃度及び炭酸ガス濃度を測定したが,

傷みの著しい保存 3 日目の包装内ガス濃度等の結果を Tabl e 2に示した.保存した試料の外観を写真. 7,8,9 に示したが一様に先端部から黄化が認められたものの,

炭酸ガス濃度が高い傾向にある区が外観上黄化程度が若 干軽い等の差も認められた.

ガスバリア性が高く,気密性が高い区は,コネギの呼 吸に伴って酸素濃度が低下する.一般に1%以下の無気 呼吸至らない低酸素は,コネギの呼吸抑制に働く.

試験区内では,EPS が高炭酸ガス,低酸素傾向であり,

鮮度保持に一定の効果が認められたが,他の区ではリサ イクールのⅠ型を除いて顕著な効果は認められなかった.

これらのことから次のことが推定された.

1)EPSは断熱性に加えて,容器の構造及びEPS 容器自 体の気密性により鮮度保持効果を発現.

2)断熱特性は DB 単独では EPS と大差ないが,鮮度保持 性はガス透過性は抑制で改良することが可能.

3)リサイクールなどの表面塗装は DB のガス透過抑制に 一定の効果が認められ,Tabl e 2 に示すようにスロッ

O2 CO2 O2 CO2 O2 CO2

対 照 : 普 通 段 ボ ー ル 開 孔 OPP 10 25 20. 9 0 20. 9 0 20. 9 0 1

FS 味 一 ネ ギ 用 開 孔 OPP 10 25 20. 9 0 13. 7 6. 3 11 8. 2 2

普 通 段 ボ ー ル + ス ラ ッ ト Ⅰ 型 開 孔 OPP 10 25 20. 9 0 20. 9 0. 2 20. 9 0. 3 2

普 通 段 ボ ー ル + ス ラ ッ ト Ⅱ 型 開 孔 OPP 10 25 20. 9 0 20. 9 0. 1 20. 9 0. 1 1

リ サ イ ク ー ル + ス ラ ッ ト Ⅰ 型 開 孔 OPP 10 25 20. 9 0 20. 7 0. 4 19 2 2

リ サ イ ク ー ル + ス ラ ッ ト Ⅱ 型 開 孔 OPP 5 25 20. 9 0 20. 7 0. 2 20. 2 1 1

リ サ イ ク ー ル + ス ラ ッ ト Ⅲ 型 開 孔 OPP 5 25 20. 9 0 20. 7 0. 2 20. 3 1 1 Tabl e 2 25℃ 保 存 試 験 結 果

備 考

H字 貼 り ガ ス 環 境

9月 7日 9月 8日 保 存 温 度

束 数 9月 9日

No 密 封 OPP 開 孔 OPP

写真. 7 函内の 25℃3 日目のコネギ(FS も黄化)

写真. 8 函内の小ねぎ(全てに黄化が発現)

写真. 9 包装内のコネギ(2:③,4: ⑤,FS: ②に相当)

トⅠ型の効果が高かった.コーナー改良と塗装原紙の 利用は,気密性向上に相乗効果が期待できる.

4)EPS は MA 容器としては不充分だが,比較的早く高炭 酸ガス,低酸素条件になる.このため,EPS の青果物

鮮度保持効果は主にその気密性によると考えられた.

また,今後安全性を含めて低コスト塗装を検討する 必要があるが,塗装によって段ボールの気密性向上が 可能であることが推察された.

5)封かん方法は,気密性の点からH 字貼りが有利であ るが,流通の現場では作業性・コスト面からH 字貼り を選択することは困難である.このためI字貼りでの 気密性向上を検討する必要がある.

3. 4 今後の課題

本試験で DBのコーナー処理による気密性向上が予見 できたので,今後改良をする上では,コーナー処理+I 字貼りを前提とした検討が必要である.

近年異物混入対策等の理由からバリア性を付与した段 ボール開発の事例が報告されているが,いくつか問題点 も指摘されている.PE 被覆は効果が高いが,①工程数が 増え,製造コストの上昇,②アルミ系バリアでは金属探 知 機が 使用 でき ない ,③石 油由 来で は環 境負荷 が高 い

(LCA の問題),また④印刷現場では一般に印刷適性を水 性塗装でコントロールしていることから,水性塗装技術 で紙に酸素バリア性を付与できるとの報告もある.この 場合シーラント層の積層も合わせて行うことも可能であ る.

参考文献

(1)

中部大王製紙:第

49

回全日本包装技術研究大会予稿 集

,P34(2011)

(2)

打田宏:日本包装学会誌

P33

Vol4,No.1(1995) (3)

志水基修:フレッシュフードシステム

,P28, Vol. 35,

No.2(2006)

(4)

五十嵐清一:段ボール包装技術入門

,

日報出版

, P208~217(2008)

(5)

仲川勤:包装材料のバリア性の科学

,

日本包装学会

, P68~72,P115~P134

2003

(6)

大久保増太郎:野菜の鮮度保持

,

養賢堂

,P25~32,

P103~107(1982)

ヨ モ ギ の 食 品 素 材 化 と そ れ を 利 用 し た 加 工 食 品 の 開 発

廣 瀬 正 純

・ 安 部 規 子

* *

食 品 産 業 担 当・

* *

明 礬 温 泉 協 同 組 合

T ec hnol ogy D ev el opment of P roc essing Mugwort t o F ood Mat erial and P roduc t D ev elopment usi ng Mugw or t

M as az um i H I RO SE

*

・ N or i k o ABE

**

*

F ood I ndus t r i al Gr oup・

**

Cooper at i v e My ouban Hot Spr i ngs

要 旨

ヨ モ ギ の 部 位 別 加 工 適 性 を 色 調 , 香 り を 基 準 に 評 価 し た 結 果 , 先 端 部 だ け で な く 下 葉 も 利 用 可 能 で あ る こ と が 明 ら か に な っ た . 茎 部 は 硬 く , ヨ モ ギ の 香 り も 無 い の で 利 用 で き な か っ た .

時 期 別 の 加 工 適 性 は 春 季 と 夏 季 の ヨ モ ギ が ポ リ フ ェ ノ ー ル が 多 く 苦 味 が 強 い も の の , 色 調 が 明 る く 香 り が 良 好 で 加 工 適 性 が 高 い こ と が 明 ら か に な っ た .

ヨ モ ギ を 食 品 素 材 化 す る た め の 前 処 理 法 を 検 討 し た 結 果 , ア ル カ リ 処 理 す る こ と に よ り , 短 時 間 で 苦 味 が 除 去 で き , 香 り の 残 存 も 多 く , 色 も 鮮 や か に な る こ と が 明 ら か に な っ た . ま た , 粉 末 , ペ ー ス ト へ の 素 材 化 方 法 は 低 速 切 断 す る こ と に よ り , 均 一 な 粉 末 及 び ペ ー ス ト が 製 造 で き た .

こ れ ら の 粉 末 と ペ ー ス ト の 使 用 量 を 検 討 し た 結 果 , 麺 類 , パ ン , 饅 頭 類 に は 粉 末 で 5%, ペ ー ス ト で 7. 5%の 添 加 が 必 要 で あ り ,餅 ,団 子 類 で は 粉 末 で 10%,ペ ー ス ト で 15%の 添 加 が 必 要 で あ っ た .ま た ヨ モ ギ 茶 飲 料 を 製 造 す る た め の 抽 出 条 件 は , 80℃ , 3 分 間 の 抽 出 が 最 適 で あ っ た .

1. はじめに

ヨモギは和菓子を中心に色,風味付けに広く利用され ている.通常,業務用として販売されている粉末を利用 しているが,品質的は十分ではなく,高品質な粉末やペ ーストなどの食品素材が求められている.

そこで,ヨモギの部位別,時期別加工適性を評価する とともに色調,食味,香りが優れた乾燥粉末,ペースト を製造する技術を開発する.

2. 実験方法